悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*
“あなたが悪いのよ”
教師は何度も繰り返した。
何度も繰り返しながら愛撫とも呼べない
行為を続け、生臭い息を吐きかけてきた。
自分の何が悪いのかも分からない。
全身に鳥肌がたっても教師はやめようと
しない。
やがて我慢しきれないように教師はスカ
ートのファスナーに手が伸ばし、その隙を
ついて教師を突き飛ばして跳ね起きると、
後ろで喚くのにも振り返らずに持ってきて
いたカバンを鷲掴んで部屋を飛び出した。
車が走ってきたような気がするうろ覚え
の道を走り続けた。
振り返ったら教師の皮を着た女がいそう
な気がして。
闇雲に走ったけれど、大きな通りに出て
しまえばあとは早かった。
道路標識に書かれている見覚えのある地
名の方向へ向かえばいい。
ようやく安堵して、振り返ってみたがそ
こには誰もいなかった。
心が麻痺したように何も感じなかった。
いや考えないようにした。
ただ両足を交互に出していけばいずれは
家に辿り着くとそれだけを考えていた。
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