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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


 まぁほとんどミスがなければ点数だって

落ちようがないというもので、モードが変

わって難易度は上がったけれど持ち前のリ

ズム感と一度プレイした曲だからか、そこ

そこの得点でゲームを終えた。


「なんや、大したことあらへんな」


 なんだろう、すごく悔しい。

 要領がいいと素直に褒めたくない…と思

ってしまうのはやっぱり心が狭いだろう

か。


「クロード、EXモードって知ってる?」

「EX?それ難しいん?」

「うん。ハードよりずっと」


 さらに数枚の小銭を投入してEXモード

へ進み、同じ曲でいいというクロードにモ

ニターの前を明け渡した。

 アップテンポのメロディが流れ出すと間

もなく立て続けなボタン連打が延々と連な

る。

 ところどころで同時押しや全部押しが割

り込んできて、さすがに初めてプレイする

人には易しくない。

 画面の指示は集中すればギリギリ目で追

えたとしても、体がついていききらない。

 もちろん曲によってはそれすら追いつけ

ないのもある。

 ノーマルやハードのモードがリズムを刻

むレベルだとすれば、EXモードは歌うレ

ベルに近いのだと誰かが言っていたような

気がする。

 もちろん手元を確認する余裕はないし、

考えている一瞬に一度崩れたリズム感はす

ぐに取り戻したとしてもミスによってコン

ボが途切れると結果的に最後の点数に大き

く響く。

 さすがに会話する余裕もないのかクロー

ドは黙ったままだけど、画面を見ていると

やはり多少は調子が狂うのかミスが目立

つ。

 それが嬉しい…とは思わないけど、少な

くとも簡単だと言い放つことは出来ないだ

ろう。

 それで満足だった。


「まぁ初めてだしさ?

 慣れれば高得点出せるようになるって」


 なんとかラストまではいったもののコン

ボボーナスが少なく点数に繋がらなかった

為に高得点にはならなかった。

 しかし初プレイでラストまでいったのな

ら、それはそれで凄い事だと思う。


「80%以上いったら惚れ直す?」

「えっ…?」

「90%越えたら駆がキスしてくれる言う

 んやったら頑張るけど」

「………」


 アーケードのゲーム台に手をついてずっ

と下を向いてたから落ち込んでいるのかと

思って声をかけたのに、基本的にポジティ

ブ思考のクロードはクリアご褒美のことを

考えていたらしい。

 心配する必要はまったくなかったよう

だ。


「まず惚れてないし、なんで俺がクリアご

 褒美やらないといけないんだよ?」

「愛の試練やろ?

 高得点クリアしたらご褒美くれてもええ

 やん」


 …頭痛がしてきた。

 今日は早く帰ろう、うん。


「愛じゃないから、愛じゃ。

 ほら次の人並んでるし、もう帰ろう」

「えーっ、なぁじゃあキスは?キスは?」

「あるわけないっ」


 っていうか人前だから!

 ただでさえ目立つのに、キスだの騒いで

ガン見されるなんて勘弁してくれ!


 どう頑張っても日本ではスキンシップの

域を超えてるんだって理解してほしい。

 まだキスを諦めきれないクロードが粘る

けど、俺は周囲の視線に耐えかねてさっさ

とゲームセンターを抜け出した。





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