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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


「ただいま…」

「あ、お兄ちゃんおかえりー。

 って、アレ…?」


 玄関に足を踏み入れる時にお邪魔します

と断ったけど、玄関のすぐそばの廊下で棒

アイスをくわえた女子中学生っぽい子がぽ

かんと立っていた。

 部屋着なのかもしれないけど、キャミソ

ールにミニスカートという出で立ちでなん

となくやり場に困ってしまった。


「あ…友達…?」

「あぁ。今から課題やる」

「ちょっ、ちょっと待って!!

 5分っ、いや、10分待って!!」


 すでに靴を脱ぎかけている加我を大慌て

で制しながら少女はバタバタと奥へと消え

た。


「えっと…妹?」

「あぁ。

 口煩いけどしっかりしてる、と思う」


 とりあえず言われた通り待たなければな

らないらしいので加我に話を振ってみたら

真顔でそんな返事が返ってきた。

 加我はもしかしたらちょっとシスコンな

のかもしれない、うん。




 結局、加我の妹がどうぞと家に招き入れ

てくれたのは部屋の奥に消えてから15分

ほど経ってからだった。

 古風な外観とは違いリフォームしたとい

う屋内はそこまで日本家屋というもなくガ

ッカリしているクロードを加我がちょっと

案内してくるという形でいったん二人とは

別れ、加我の妹に案内されて広々とした和

室に通された。

 新しい畳の匂いのする大広間にはすでに

空調がきいていて涼しく、荷物を下ろすと

一気に疲れが全身を襲った。


「加我ってすごい家に住んでたんだなー」

「世が世なら、だったりしたら面白いかも

 しれないね」


 高瀬の言葉も畳の上に座って広い天井を

見上げていると現実味を帯びてくるから不

思議だ。


「麦茶どうぞー」

「あ、ありがとう」


 お盆を持って戻ってきた加我の妹が氷の

浮かぶ麦茶を配ってくれる。

 気が利くと言った加我の言葉も本当だな

と思ったけど、心なしか高瀬との距離が近

いような…いや気のせいか?

 まぁTシャツと短パンに着替えてきてく

れたらしく、視線のやりばに困らなくなっ

たのは有り難いけど。


「加我の妹さん、だっけ?

 中学生?」

「はい。3年生です。

 兄がいつもお世話になってます。

 お話は兄から聞いてて、一度お会いした

 いと」

「ゴホッ、ゴホッ…!」

「桐生、大丈夫か…?」


 火照った体を冷まそうと麦茶を飲んだら

タイミング悪く気道に入ってしまったらし

く盛大に咽てしまった。

 心配げな二人に大丈夫だと涙目のまま頷

いて暫く咳き込んだ。





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あきゅろす。
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