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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


 クロードを止めておいて自分で騒いで迷

惑かけるなんて…と軽く自己嫌悪に陥りつ

つ片手で口元を覆ったら、クロードの唇が

触れそうな距離まで耳元に近づいてきた。


「こんなこと、あの高瀬と加我が知ったら

 どないな顔するやろうなぁ?」


 楽しげな声を出すクロードの口元には心

底楽しげな笑みが浮かんでいて…。

 普段は冗談ばかり言う明るいキャラすら

も目的を達成するための仮面なんじゃない

かと時々感じることがある。


「俺を脅すつもりなのか?

 友達なのに?」

「脅されたと思うんはやましいことがある

 からやろ?

 それに俺は駆が実行できひんような無理

 難題ふっかけるつもりなんて毛頭あらへ

 んで?

 ただフェアやないやろって言うてるだけ

 や」


 な?と笑顔で同意を求めてくるクロード

の目がもう笑っていない。

 否と言えば二人に話をすることに何の躊

躇もないのだろう。

 だから俺の答えはどこまでクロードを譲

歩させられるかの一点に絞られた。


「…もう、わかったから。

 クロードの家に遊びに行けばいいんだ

 ろ?

 ただし変な事は禁止だからな。

 泊りも無し。母さんも心配するし。

 だからホント、人前で手を出してくるな

 よ。

 兄貴や麗だって人前では絶対に手を出さ

 ないぞ」


 最後の一言にクロードの笑みが一瞬静止

する。

 ただそれも瞬く間で、ニィと口角が上が

った。


「ええよ?

 駆がほんまにフェアにするって言うんや

 ったらな?」


 さっきまで浮かんでいた苛立ちは影をひ

そめ、浮かべる笑みはまるで勝ちを見越し

たライオンのようでいやに胸がざわめい

た。

 その気になればいつでも牙にかけられ

る獲物(じぶん)を泳がせて、弱っていく

のを目の前でじっと待たれているような

錯覚すら抱かせる。

 でも学校で見せているほうが仮面で、こ

ちらがクロードの素なんだと忘れさえしな

ければ何とかなる…のは無理でも、最悪の

状況にはならないんじゃないかと信じた

い。

 …自信はないけど。





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あきゅろす。
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