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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


「あ、じゃあ読書感想文の本も探してこよ

 うかな」

「なんだ、桐生はまだ本も選んでなかった

 のか?」


 純粋に驚いたという目で加我に見られた。

 言い訳をさせてもらうと、皆でやると約

束していた自由研究と読書感想文以外の夏

休みの宿題はもうすでに終わっている。

 進学校ということもあって各教科の問題

集はそこそこのボリュームがあったんだけ

ど、家庭教師のバイトもしている兄貴の部

屋に何度も呼び出されてさっさと終わらせ

てしまった。

 “自由研究や読書感想文なんて受験勉強

の息抜きにやるものです”と言う兄貴に冷

めた目で見られ、志望校の過去問題集の山

を消化する日々だ。

 兄貴は嫌味が多いけど教え方は上手いし

分らないところはとことん付き合ってくれ

るので助かってはいる。

 助かってはいるけれど、呼び出されたら

二人きりなわけで…まぁ、色々と大変では

ある。

 家に帰れば帰ったで麗がくっついて離れ

ないのはその辺りの事情を敏感に感じ取っ

ているからだろう。

 少しずつ少年ぽさが抜け落ちていく麗の

添い寝をいつまで許すのかというのが、最

近の結構笑っていられない問題だ。


「なんや、まだ終わってなかったんか?

 せやったら俺が手伝ったろか?」


 ぽん、と肩に手が乗ったと思ったら引き

寄せられていて心臓が驚いて跳ねる。

 相変わらず手が早い、なんて呆れながら

クロードを軽く睨んだ。


「読書感想文なんて“どうやって”手伝う

 んだ?」


 公衆の面前で何するんだと睨みながら肩

に置かれた手を引き剥がそうとするが、手

を下ろすフリをしながら今度はスルリとズ

ボンの上から尻を撫でられた。


「うーん…静かに読書できる環境?

 あの弟にまとわりつかれながら読書やな

 んて集中できへんやろ?

 あとマッサージとか、俺得意やで?」

「っ〜〜〜」


 確かに麗はいっつもくっついていたいみ

たいだけど、勉強の邪魔とか俺が本当に困

るような事はしない。

 そもそもクロードのマッサージなんて着

衣が前提だって危ないから絶対に受けるつ

もりはないのにセクハラしながら何を言う

のかと呆れてしまう。


 1学期の終業式の日に自由研究以外の課

題はもう全部終わらせたと言ったクロード

は“あんなもん1日あれば充分やろ”とあ

っけらかんとのたまった。

 夏休みの初日から課題付きで兄貴の部屋

に呼び出しをくらってなければ、クロード

の購入したての自宅に勉強という名目で呼

ばれ何をされていたのか分からない。


 いや、逆か…。

 そう思ったから兄貴が前もって先約いれ

たのか、な…?


 兄貴に勉強みてもらう約束だからと返し

た時のクロードの目といったら…未だにそ

れを根に持ってるらしい。

 根に持つ位なら常日頃のセクハラ大魔神

っぷりをどうにかしてくれ、と思ってしま

う。

 あの妙な能力を使ったら絶交…とは言っ

てあるけど、だからといってクロードの手

癖が改まるわけでもなく能力を使わないの

が本当に良かったのかどうかは微妙なとこ

ろだ。





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