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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


 ミーン、ミーン、ミーン…ジジジジジ…

 アスファルトから照りかえる熱気と背中

を追いかけてきていた蝉の声が自動ドアが

背中の向こうで閉まったと同時にシャット

アウトされた。


「ふぅ…生き返る〜」

「歩いてみたら意外と距離があったな」

「たまにならいいかな、健康的で」


 エアコンの行き渡った図書館の入り口で

肩の力を抜いて脱力すると、さほど暑さに

やられていないんじゃないかと言いたくな

る二人の会話が耳に入った。


「加我も高瀬も余裕だな…」

「俺は稽古で毎朝走ってるから」

「俺もよくあいさつ運動とか地域清掃とか

 参加してるからかな」


 道場の跡取り息子の加我と爽やかな委員

長の高瀬は言う事が違う。

 いや、日頃の生活スタイルから違うんだ

けど。


「せやから車で行こう言うたやないかー」


 ボタンを外したシャツの前を掴んでパタ

パタと風を送っているクロードは不満そう

だったけど、自由研究の為の取材であちこ

ち行くのに市内を高級外車で走り回るのだ

けは避けたかった。


「それにしても…やっぱり混んでるな」

「皆考えることは同じということか」


 図書館なら使えそうな資料があるかもし

れないと来てはみたものの、夏休みの宿題

や受験勉強が目的で来館している学生が多

いのか席は一つも空きがなかった。


「仕方ない。

 手分けして資料になりそうな本を探そう
 
 か。

 必要ならコピーをとって、1時間後にロ

 ビーで落ち合おう」


 自由研究のまとめは他でやらなきゃダメ

かな…とまだ暑さを引きずっていた俺の耳

に高瀬のいち早い提案が飛んでくる。

 高瀬の提案に異論はなく、皆がそれぞれ

に了解の意を示した。





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