悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*
子供は嫌いだ。
特に素直と愚かを、親切と好奇を吐き違
えているようなガキは。
初対面の子供には必ず聞かれた。
「なんで髪と目の色してるの？」
母親が異国人だからだ。
でも日本で生まれ育ったから、毛色は違
っても母国語は日本語。
母の母国であるイギリスの英語はたまに
母が話すのを聞いて育ったくらい。
触れて育った文化も、母のスキンシップ
を除けばごくごく一般的な日本家庭のもの
と同じ。
…それでも。
それでも子供は単純だ。
見た目が違う。
それだけで異分子として排除しようとす
る。
同じ言葉を喋っても、同じ国で育って
も、同じ文化で育っても。
“見た目が違う”
ただそれだけで、まるで見世物のように
不躾に観察してくる。
自分たちと同じ部分に驚いたと思った
ら、今度は違う部分で落胆したフリをして
見せて、やっぱり違うと判断する。
目新しい存在に好奇心が満たされれば、
あとは玩具を遊び飽きるように自分たちの
テリトリーを守ろうとする。
所詮同じものにはなれないものを異分子
として排除しようとするのだ。
自分たちの小さな小さな世界を守るため
に。
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