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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


 ようやく食べ始めた麗と遅めの夕食を終

え、片付けはいいからと言う麗に甘えて洗

い物を任せ浴室に向かう。

 しかしシャワーを浴びながら明日は大学

が昼からで良かったと思った途端に重要な

ことに気づいた。



 あれ…麗は明日学校じゃないのか?

 もう日付も変わるし、終電だって…。


 自分が帰ってきたばかりだから失念して

いた。

 俺が終電で帰ってきたのだ。

 こんなにゆっくりしていたら麗が帰る電

車なんてあるんだろうか。

 もし今夜ここに泊まったとしても、明日

の始業時間に間に合うように出るならだい

ぶ早いんじゃないだろうか。


 なるべく早く確認したほうがいいと思っ

てざっと頭や体を洗ってシャワーを終え

た。

 パジャマに着替えて居間に戻ると当の麗

もパジャマに着替えてまったりお茶を飲ん

でいた。


「麗?

 帰らなくて大丈夫なのか?」

「帰るって…もう終電ないよ?」


 あぁ、そうか。“パジャマ”か。


 苦笑いを浮かべて答える麗を見て俺が感

じていなかった違和感に気づく。

 自分のパジャマを持参してるってことは

麗は最初から泊まるつもりでここに来たの

だろう。


 明日は月曜日だっていうのに…朝どうす

るつもりなんだ。


「今夜泊まってもいいかって麗に聞かれた

 覚えがないんだけど?

 もし今夜俺が帰らなかったらどうするつ

 もりだったんだよ?」

「聞か…なかった?

 えっと…でも、バイトの後の予定は聞い

 たよ?」


 なんだか麗の返答がおかしい。

 何か隠してるんじゃないかという雰囲気

に、じっと麗を見つめる。


「バイトの後の予定は聞かれたけど…電話

 ならまた明日って答えただろ?」

「そうだけど…」


 麗が珍しくもごもごと言い辛そうにして

いる。

 そんなに言い辛いなんて、よっぽど後ろ

めたいことがあるんだろうか。


「麗?何を隠してるんだ?

 怒らないから言ってみろよ」


 麗の隣に腰を下ろすと麗は暫く思案顔で

黙り込み、ようやく口を開いたと思ったら

小声で言い訳みたいなことを言い出した。


「…言っても、きっと兄さんは信じないと

 思うよ?」

「麗が言う事なら信じるさ」


 可愛い弟の言い分を信じない兄がどこに

いるというのか。

 まして麗は昔から嘘という嘘をついた記

憶がない。

 言いずらそうにして“秘密”と笑うこと

はあったけど、故意に騙したりしたことは

なかった。

 その麗の言う事ならきっと本当のことな

んだろうと思う。





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