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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


「そんなに甘い香りさせてんのに、相手は

 俺じゃないん?」

「え…?」


 甘い、と言われても戸惑う。

 確かにドキドキはしてるけど別に体がど

うこうしている訳ではないし、身に覚えな

んかない。

 でも一方でクロードと…してる回数だっ

てそこそこあるわけで、そのクロードが迷

いなくその甘い香りが俺のものだと言うの

ならそうなのかもしれない。

 …俺自身には自分の匂いの差なんてわか

らないのが難点だ。 


「俺には自分の匂いなんてわからないけど

 …甘いんだとしたら、それはキスのせい

 じゃないかな」


 フェロメニアの体質とか我が身のことな

がら今でもいまいちよくわからない。

 でも例えばセックスじゃなくても…キス

してドキドキするだけで香るなら、好きな

人とキスして香るのは自然なことなんじゃ

ないだろうか。


 それってつまり…好きって言い続けてる

みたいでちょっと恥ずかしいけど…。

 でも嫌だからってどうにかできるわけじ

ゃないしっ。


「隠さんでもええよ。

 ここに入った瞬間からちょっと香ってた

 し」


 俺が思わず自分で考えてしまったことに

赤面する一方でクロードのほうの笑顔が曇

る。

 いつもはネガティブなんて軽く突き抜け

てポジティブなクロードが見せた珍しい表

情に俺の方が驚いた。


「どうしたんだ、クロード?」

「ん?後で話すわ。

 …Touch wood」


 珍しく歯切れが悪いと思ったら浴槽の檜

に左手をつきながら俺の首にかかっている

指輪を右手で引き寄せてそこにキスを落と

す。

 何をしているのかハッキリとはわからな

かったけど、なんだかそれは祈りのように

も見えた。





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