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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


「はぁ…」

「うん?到着早々、なんでそないに辛気臭

 い顔してるん?」


 思わずため息をつくとクロードが顔を覗

き込んできた。

 意外と近くまで顔が迫ってきたので、思

わずその鼻の根元を軽く摘んで顔を離し

た。


「何でもない…。

 せっかく北海道まで来たし、外出よう。

 雪だるまとかかまくらとか作れそうなく

 らい積もってるし、勿体ない」

「雪くらいでではしゃぐやなんて、駆は可

 愛ええなぁ」

「…クロードは温泉にでも入ってゆっくり

 してればいいさ」


 子供扱いされたのが悔しくてムッと睨ん

でから荷物の中から手袋やマフラーを取り

出す。


「拗ねんといてや。

 ちょお待って。準備もあるし」


 笑いながら言うクロードを置いていこう

としたけど、準備と言う単語にそれを踏み

留まる。

 振り返るともうクロードはスマホを片手

に通話を始めていた。


「すぐ届けさせるし、ちょっと待っとっ

 て?」

「え?“届けさせる”ってまさか…」


 嫌な予感がした。

 あと数時間で今年も終わろうとしている

というのに、“届けさせる”とあっさり言

ったクロード。

 まさか、と思いたい。


「だって…カイルは向こうに帰ったんじ

 ゃ…?」

「帰ってへんよ。あれは俺専属やし。

 俺がこっちにおる間が傍に居るんは当た

 り前やろ」


 開いた口が塞がらない。

 てっきり俺達をホテルの前で見送ってか

ら実家か本土に帰ったと思っていたのに。

 つまりカイルが持っていた荷物の中には

カイル自身の物もあったってことなのか。


「で、でもカイルは同じエレベーターに乗

 らなかったじゃないか。

 チェックインはどうしたんだ?」

「さっきのチェックインしたフロントはこ

 の階…スィート専用やから」


 …つまり下の階だから、エントランス入

ってすぐのフロントでチェックインした

と?





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あきゅろす。
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