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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


『なぁなぁ、突然やけど温泉行かへん?』


 クロードがそう言い出したのは、もう大

晦日にかかろうとしている時だった。


  相変わらずクロードはいつもやり出す

ことが唐突だ。

 つい昨日まで、日本のお正月と言えばコ

タツで紅白!とかはしゃいでたのに…。


 クリスマス以来、クロードの部屋でお世

話になっているしクロードが行くと言うな

ら嫌とは言えないけども。

 それにしても唐突過ぎる。

 今からじゃどこも満室だろうと言っても

いい部屋がとれたと目を輝かせているのを

見ると、それでも嫌とも言えなくて。



 そんなこんなで大晦日も半分終わろうと

いう頃、俺達は本州を離れ北の大地を踏み

しめていた。

 今まで写真でしか見たことがなかった白

銀の世界を車で走り抜けて訪れたのは10

階建ての温泉旅館。

 旅館というよりは高級ホテルのような外

観に驚いている間にクロードはメインエン

トランスを抜けていく。

 そして何故かそのままフロントに向かわ

ないでエレベーターに乗って10階へ。

 エレベーターを降りてすぐのところでチ

ェックインを済ませた。

 そして案内されたのは、二人部屋だとい

うのに広い客室だった。 


 うん…。

 まぁ最上階だったし、何となく察してた

けどさ…。


 10人は掛けられるんじゃないかと思え

るほどの長いソファー、並んで置かれたセ

ミダブルのベッド、存在感のある黒いマッ

サージチェア…それでも部屋は広々として

いて、一体何十畳あるんだろう。

 客室に雪景色が見える掛け流しの温泉が

ある他に専用の個室岩盤浴のサービスもつ

いているらしい。


 クロードといると金銭感覚麻痺してきそ

うだよな…。


 贅沢になっちゃいけないとは思いながら

誘われれば嫌とは断りきれないわけで…。

 いつか俺の方から誘いたいと思っている

けれど、1回のデートで初任給がまるっと

飛んでいきそうなこの金銭感覚の持ち主を

どこに連れて行って何をすれば満足しても

らえるのか…考えるだけ恐ろしい。





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あきゅろす。
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