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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


「うわぁ…っ。ホントに露店風呂ある!」

「フロントで聞いたでしょう。

 何をそんなに驚いているんですか」


 そんなこと言われても、やはり実際にこ

の目で確かめてみるのとは違うと思う。

 電車を乗り継ぎ、花巻駅から雪景色の中

をバスに揺られて半時間ほど。

 着いたのは全室に掛け流しの露店風呂が

ある温泉旅館だった。

 兄貴が予約をしていたのは二階の客室

で、露店風呂のすぐ向こうには雪景色の中

を川が流れている。

 風呂はそこだけじゃなくて、ちゃんと何

種類もある共用の大浴場もあるというのだ

から、どれに入ろうか迷ってしまうという

もの。

 この上夕食も豪華だと知らされたのだか

ら、テンションは上がってしまっても仕方

ない。


 べつに俺が単純だとか…そういうんじゃ

ない、うん。


 やれやれと荷物を部屋の隅に置いている

兄貴を横目に部屋の中を見て回る。

 部屋に入ってすぐのところに見るからに

ふかふかそうな和風ベッド、そのすぐ横に

6畳の和室、大きな窓の向こうの屋根付き

のバルコニーにはテーブルセットがあり露

天風呂から見えるのと同じ雪景色を堪能で

きるみたいだ。

 さらに露天風呂とは別に個室のシャワー

ルームまでついていて、どこまでサービス

がいいんだろうと驚く。


「いつまではしゃいでるんですか。

 まったく…子供みたいですね」

「う…うるさいな。

 兄貴こそ感動が薄すぎるんだよ」


 すっかり和室に座って寛いでいる兄貴に

口を尖らせてから、床の間に荷物を置いて

中から携帯電話を取り出す。

 



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あきゅろす。
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