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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


「でも…なんで俺まで?」


 この旅行が兄貴へのプレゼントなのは分

かった。

 でもそれならそれで、ぶらり一人旅とか

家族旅行とかでもよかったはずで。

 何故当日の朝になって急かされるように

して出てこなければならなかったのか。


「もし立場が逆だったら、駆は一人で温泉

 旅行に行きますか?」

「行かない、けど…」


 質問に質問で返されて、ちょっとモヤッ

とする。

 そんな答えが聞きたいんじゃないのに…

そう思ってしまう。

 それにそうだとしても、何故当日の朝に

なって急かされるようにして出てこなけれ

ばならなかったのか。


「でもそれなら俺じゃなくても良かったん

 じゃないの?

 麗だって来たがったかもしれないし…」


 麗の名前を口に出しただけで露骨に嫌な

顔をされた。

 何もそんな顔をしなくても…と思うけ

ど、兄貴は目を細めたまま溜息をついた。


「何の為に今朝まで黙っていたと思ってる

 んですか。

 本当に飽きれるほど鈍感ですね」


 心底呆れたという目つきにムッとして睨

む。

 なにもそんな言い方しなくてもいいじゃ

ないか。

 兄貴はつくづく憎まれ口が減らない。


「そういうことをするから麗が拗ねるんだ

 ろ。

 麗も一緒に連れてきてやればよかったの

 に…」


 なんだか麗をのけ者にしたようで心が痛

む…俺がそう思っている横で兄貴は再び本

に視線を落としてしまった。


「そんなに麗と行きたかったなら、次は麗

 と行けばいいでしょう」

「そんなこと言ってないだろ。

 もう…なんでそんな言い方しか出来ない

 だよ」





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