悪魔も喘ぐ夜
*
…それでいきなりキスなんて突拍子もな
いこと言い出したのか。
兄貴の狂った歯車は、もしかしたら麗ま
で巻き込んで不安にさせているのかもしれ
ない。
だとしたら麗は俺が安心させてやらない
と。
俺はいつまで経っても麗のお兄ちゃんだ
からって。
「麗…泣かなくていい。
俺はどこにも行かないし、ずっと麗のお
兄ちゃんだよ」
泣きじゃくる麗の頭をゆっくりと繰り返
し撫でながら続ける。
「兄貴が俺を麗から取り上げてるんじゃな
くて、たまたまそういう時間の差で俺が
生まれただけ。
俺が兄貴にとられるなんて考えすぎだ。
安心しろ」
そう、全ては考えすぎ……そう信じてく
れ。
いつかその通りにしてみせるから…。
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