悪魔も喘ぐ夜
*
「もうしないから、許して…」
幼い頃からケンカしても“もうしない”
そう言えば兄貴は大概のことは許していく
れた。
反省して繰り返さないと約束すれば、そ
れ以上の追及や断罪はしてこない。
「…父さんや母さんが知ったら、悲しむで
しょうね。
まさか僕の学習用にと買ったもので駆が
こんなことをしていたなんて知ったら」
全身が震えた。
首筋に刃をあてられたような気がして、
慌てて首だけ振り返った。
そこにいたのは…意地の悪い笑みを浮か
べる兄貴。
その意地の悪さは今まで俺が知らなかっ
た暗さを秘めていて言葉に詰まった。
「まさか…言わない、よな?」
「さぁ、どうしましょうか…。
駆が今後僕のいうことをきちんと聞くい
い子になるなら考えますけどね…」
このことを知られたら、父さんと母さん
は…。
嫌だ。それは嫌だ。
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