悪魔も喘ぐ夜
*
「…これで何がわかるんだ?」
「黙っておいで。
今集中しているんだから」
落ち着かなくなってきて尋ねたら叱られ
た。
どうやらこの老婆は本気で占ってくれて
いるようだ。
見かけで判断しちゃいけない人なんだろ
うか…そう思うと、先ほどまで老婆に対し
て思ってきたことが申し訳なくなる。
と、沈黙を破って老婆の皺だらけの指先
が最初に置いたカードを上を指さした。
「]U 吊るされた男。その逆位置。
これは無意味な犠牲。
どれほどに犠牲をはらったとしても報わ
れないことを示している。
それがお前の現状さね」
ドクンッと、心臓が嫌な音をたてた。
“無意味な犠牲”
それは身に覚えがあることではなかった
か。
何も言えずにいると、老婆の指先が2枚
目のカードの上に移動した。
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