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悪魔も喘ぐ夜
*


「じゃあ…どうして?」


「決まってるやないか。

 駆がこの学校におるからや。

 駆に会いたい一心で、俺頑張ったんや

 で?」


 つつつ…とクロードの指が顎のラインを

滑る。

 擽ったい。


「…せやから、頑張ったご褒美くれてもえ

 えんちゃう?」

「ご褒美…?」

「せや…。ご褒美、な?」


 クロードがじっと俺を見つめている。

 顎を滑っていた指先が下ろされて、俺の

腿を撫で回す。

 “そういう”ご褒美だと理解した瞬間に

ハッとした。


 今、俺なんか変だった?!


 改めてクロードの目を見ると、グレーの

はずの目が血のような赤に変わっている。


「クロード…っ?」


 訝しんで名前を呼んだ瞬間にふっとクロ

ードが笑って瞬きした。


「なんや…そこまでは効かへんのか」


 再び俺を映した目は、まるで何もなかっ

たかのようにグレーに戻っていて、頬杖を

つくクロードはひどく緩慢な動きで足を組

んだ。


「やっぱり血が近いからあかんのか…」


 戸惑う俺を無視して、なんだか訳のわか

らない独り言を呟いている。


「クロード…?

 今、俺に何か…」

「何にもしてへんよ?

 何にも、な」


 クスクスと笑うクロードの顔が俺の警戒

心を撫でた。

 クロードは嘘をついた。

 きっと俺に何かしたんだ。

 いや、何かしようとしてしくじったんだ

ろう。

 だけど…何を…?


 しかしクロードはそれ以上の問答を拒む

ように授業に集中し始めた。

 クロードが気になりはしたが、黒板の内

容を消されてしまう前にノートに書き写す

しかなかった。





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