悪魔も喘ぐ夜
*
「だけどぼく、お兄ちゃんが好きだよ」
「俺も好きだよ。
でも弟として、だ。
恋人としてじゃない」
暗闇の中で麗が今どんな顔をしているの
かはわからない。
だけど間違いは正さないとならない。
「考えてごらん、麗。
ずっと一緒にいたいならいられるんだ、
兄弟だから。
たとえ距離が離れたって繋がりは死ぬま
で消えない。
会いたいと思うだけでいつでも会える。
兄弟だから。家族だから。
でも恋人はそうじゃない。
すれ違って、喧嘩して、仲直りできなか
ったらそれで終わってしまう。
それでも恋人がいいのか?」
「…どっちも。どっちもがいい」
「麗…。無理だよ。
わかってるだろ?」
子供っぽく見えても麗は中学生だ。
恋人がどういうものか位はうっすら解っ
ているだろうに。
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