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悪魔も喘ぐ夜
*


「………」


 見事なほどに思い浮かばない。

 よくよく考えてみると、どんな些細な喧

嘩も俺一人の力で兄貴に勝った例がなかっ

た。


 いやいやいやいや!

 待て待て!

 何かあるはずだろ。何かっ…


 落ち込みそうになる気力をブンブン振り

回して何かを思いつこうとする。


 でも、やっぱり分からない。

 兄貴は一体何が望みで、何をどうしたい

のか、それを俺は知らない。

 代替え案で譲歩してもらうにしても、ま

ずはそれを知らないと。


 …でもあの兄貴がそんなに簡単に教えて

くれんのかな…。


 聞いてもはぐらかされてしまうなら、ど

うやって引き出せばいいのか…。


 直球でダメなら変化球…?


「うーん…」





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