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悪魔も喘ぐ夜
*


「アッ、アッ、イイッ、イイよぉッ」


 カメラを意識しながらのポーズやこれみ

よがしの喘ぎ声。


 「こんなもんだよな」なんて頭の隅では

思いながらも、音漏れ防止の為のヘッドフ

ォンを装着したまま手摺り付きの回転椅子

の上で座り直してしまう。

 演技や演出だとわかっていても目が離せ

ない。

 その息遣いや、いやらしい音までもがリ

アルに響いてそんなつもりはなかったのに

ズボンの前が膨らんでいく。


「…………」


 ほんの一瞬だけ躊躇ったけれど耳元にこ

びりつく喘ぎ声が背中を押し、時計を確認

してからそろそろとズボンのボタンを外し

てファスナーを下ろす。

 すっかりその気になって下着を押し上げ

ているモノを引っ張り出すと、じんわりと

したぬめりが先端を濡らしている。


「……っ………」


 声を漏らさないように息を調節しながら

やんわりと包み込むように握って上下に手

を動かす。

 パンパンと規則正しく響く肌のぶつかり

合う音と濡れた音が重なり、それらと連動

するように手の動きを早めていくと透明な

体液が溢れてきた。

 声は我慢できても荒くなる呼吸に鼻だけ

では足りなくなって口を開いて酸素を取り

込む。




 すっかり画面にのめり込んで見入ってい

たから、誰かが入ってきた気配に気づけな

かった。

 その気配が暫しの間じっと俺を観察して

いたことにも。





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あきゅろす。
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