悪魔も喘ぐ夜 * なんでこんな夢の続きなんか見なきゃい けないんだ…。 黒い霧の立ちこめる崖の底は視界も悪い が、空気も気分も悪い。 ついでに激痛が走る体を引きずって、こ こで何をしようっていうのか。 こんな夢終わってくれ…。 当初ここに来たかった理由は文字通り霧 散して、ここで何をしたかったのかも分か らず、ここに居なきゃいけない理由もな い。 待っていたらこの夢終わらないかな…。 動くのも億劫でその場に座り込んでいた ら、黒い霧の一部が輪郭をもった。 それは見ている前で黒いローブの小柄な 人影になった。 “谷には悪魔がいるっていう噂だよ” 果物屋のおばちゃんの言葉を思い出して 緊張がはしる。 しかし体は痛みのせいで動きが鈍く、襲 われたら終わりだ。 [*前][次#] |