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悪魔も喘ぐ夜
*


 身動き出来ない姿勢のまま、それでも目

を離せない。


「こうしたら思い出すやろ?

 ほら、俺の名前言うてみ?」


 目を反らせないまま、頭の中が混乱し始

める。


 知ら…ない…。

 知るわけ…ない…。

 ………。

 ……。

 …本当に?

 …本当に知らない?

 クロードを、知らない?

 俺が?

 従兄弟のクロードを知らないなんて、あ

るわけない。


「クロー…ド…?」


 掠れた声が漏れた。

 それを見て、クロードがいつもの笑顔で

笑いかけてくる。


「そや。やっと思い出したん?

 もう忘れんといてや、俺のこと。

 かわええ駆に冗談でも忘れられたら、

 ショックでもう学校来うへんよ?」


 思考に霧がかかったようだったのが晴れ

ていく。


 そうだ。

 クロードを忘れるなんて俺どうかして

た…。

 なんで忘れたんだろう?





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