悪魔も喘ぐ夜
*
暗闇になって目を閉じると、麗の吐息が
聞こえてきた。
「ねぇ、お兄ちゃん」
「うん?」
珍しく言い辛そうな間をあけてから麗が
質問してきた。
「お兄ちゃんはキス、したことある?」
「キスって…いつもしてるじゃないか」
「そうじゃなくて。
そういうんじゃなくて…もっとちゃんと
したの」
「ちゃんと?」
「口と口でするキス」
やっぱりそうきたか…。
まぁ、わざわざキスって言われた時点で
うすうす気づいていたけれども。
「うん?
好きな人でもできたのか?」
「うん。大好き」
おや?
いつまでも俺にべったりだと思っていた
けど、実はそうでもなかったのかな?
この相談がしたくて一緒に寝たいって言
ってきたんだとしたら、嬉しいような寂し
いような…勝手なようだけれどもそんな気
分だ。
そうか。麗に好きな人かぁ…。
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