悪魔も喘ぐ夜
*
どうする…。
ダメ元で飛ぶか?
それとも一度上って村に戻るか…。
しかし未だ底が見えないまま飛ぶなんて
自殺行為だ。
仕方なく奥歯を噛み締めてロープを上り
…かけたら手が汗で滑った。
ズルッ!!
体を支えるものがなくなって一瞬ふわっ
と体が浮き、濃い霧の中へ吸い込まれてい
く感覚に陥る。
落ちるっ…!!
反射的に体が強張り、拳を握りしめた。
『お兄ちゃん…!!!』
どこか遠くで聞き覚えのある声が聞こえ
た気がした。
ビクッ!!
自分の体の痙攣に驚いて目が覚めた。
心臓の鼓動を煩い。
そこが自分の部屋の自分のベッドだと気
づいて、間もなく鼓動のスピードも正常に
戻っていった。
身動きがしずらいと思っていたら、いつ
の間にか麗が腕の中で眠っている。
俺が寝ている間にでも忍び込んできたん
だろう。
兄貴と違って本当に添い寝だけが目的だ
ろうから、特に咎めることもこともないだ
ろうけど。
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