悪魔も喘ぐ夜
*
驚いて引っ込んだ涙に今更ながらに気づ
くと、横に居た麗と目が合って、麗がニッ
コリと笑った。
「お兄ちゃんは独りぼっちなんかじゃない
からね?」
そして今兄貴が触れたばかりの唇に唇を
かぶせてきた。
「…だから、一緒にいたら危ないって言っ
てるのに…!」
「何が、どう危ないんですか。
具体的な実体験でもしたとでも?
もし仮にそうなったとしても、責任は僕
が自分でとりますから口出ししないで下
さい」
「まだ未成年でしょうっ?
責任をとるなんて簡単に言わないでちょ
うだい!」
「逆に聞きますが、親がどれだけの責任を
負えると?
結局最終的に背負うのは自分でしょう。
我が子のささやかな願いも叶えてやれな
いで、なにが母親ですか」
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