悪魔も喘ぐ夜 * 「で、でもっ…じゃあ、淫魔だから諦めろ ってこと? 紛れもない家族なのにっ?」 「そうだとも言えるし、それだけではない とも言えるわね。 少なくとも秀や麗は、半分は人間である 父さんの血をひいているから、食物から でも栄養は摂取できる」 だったら何も問題は… 「でも…二人はあなたの味を知ってしまっ た」 母さんの表情が曇る。 俺が何も言えずにいると、長い沈黙の後 で母さんが再び口を開いた。 「フェロメニア…という特殊な体質をもつ 人間が時々生まれてくるの。 遺伝ではなくて突然変異でね、100万 人に1人とも1000万人に1人ともい われているけれど。 駆…あなたは多分フェロメニア体質なの よ」 「え…俺?!」 思わず自分を指さして聞いてしまった。 母さんに似て容姿が日本人離れしている 兄貴や麗ならまだ…理解できなくもない。 でも、まさか平凡すぎるほど平凡な自分 まで特殊な体質だと言われるとは思わなか った。 [*前][次#] |