悪魔も喘ぐ夜
*
「で、でもっ…じゃあ、淫魔だから諦めろ
ってこと?
紛れもない家族なのにっ?」
「そうだとも言えるし、それだけではない
とも言えるわね。
少なくとも秀や麗は、半分は人間である
父さんの血をひいているから、食物から
でも栄養は摂取できる」
だったら何も問題は…
「でも…二人はあなたの味を知ってしまっ
た」
母さんの表情が曇る。
俺が何も言えずにいると、長い沈黙の後
で母さんが再び口を開いた。
「フェロメニア…という特殊な体質をもつ
人間が時々生まれてくるの。
遺伝ではなくて突然変異でね、100万
人に1人とも1000万人に1人ともい
われているけれど。
駆…あなたは多分フェロメニア体質なの
よ」
「え…俺?!」
思わず自分を指さして聞いてしまった。
母さんに似て容姿が日本人離れしている
兄貴や麗ならまだ…理解できなくもない。
でも、まさか平凡すぎるほど平凡な自分
まで特殊な体質だと言われるとは思わなか
った。
[*前][次#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!