悪魔も喘ぐ夜 * 「え?旅行?」 それは4月も末にさしかかったとある朝 の会話。 「えぇ、そうよ。 ほら、今年のお正月は珍しく大雪で出か けられなかったでしょう? バタバタして駆と麗の入学記念もちゃん と出来なかったから、みんなで旅行に行く のはどうかってお父さんと話してたの」 朝食の席で母さんが言い出したのは、G Wに家族旅行をしようという話。 「でも今から旅行に行こうと思っても、ホ テルなんてとれるんですか? 大型連休の旅行は予約が常識でしょう」 兄貴は機嫌のいい母さんの提案に疑問を 投げかける。 「それは大丈夫だよ。 父さんの会社の同僚の実家が旅館をやっ ているらしくてね。 ちょうど予約キャンセルがでたそうなん だ」 「へぇ、ラッキーだったね」 こんなギリギリのタイミングで予約キャ ンセルなんて、そうそうあるものじゃない だろう。 「3人ともGWの予定はどう?」 [次#] |