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悪魔も喘ぐ夜
*


 もう疲れた。

 見えない出口を探すことに。

 この身一つ投げ出して、それで丸く収ま

るならそれでいいじゃないかと自棄になる

位には。


 だけど…。


「麗…」


 すぐ傍にあった麗の頬を撫で、顎を掴ん

で引き寄せる。
 
 唇が触れ合って間もなく突起から爪が離

れ、麗が首に抱きついてきた。


 麗の唇を吸い、軽くリップ音をたてて唇

を離した時には、もう麗の表情に陰はなく

とろんとしていた。


「お兄ちゃん…大好き…」



 幸せそうな顔で麗はもう一度とキスをね

だる。

 その唇に何度でもキスを降らせる。






 悪魔が笑いながら両腕を広げる。

 “さぁ、堕ちておいで…”


 いいさ、堕ちてやるとも。

 でも心までは明け渡さない。


 兄貴も、麗も、その闇から救い出してみ

せる。


 悪魔が二人に孤独や狂気を囁くのなら、

 俺はその手を引いて這い上がってやる。


 たとえ闇に堕ちても、希望を捨てなけれ

ば夜は必ず明けるって証明してみせる。





[*前]

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