悪魔も喘ぐ夜
*
「お兄ちゃん、約束してくれたよね」
何か言おうとしたら麗に先を越された。
「ぼくが好きだって。
ぼくをおいて何処にも行かないって」
「あぁ、うん…」
何故このタイミングなのかは分からなか
ったが頷く。
「だからね、ぼくこれからもお兄ちゃんに
いっぱいぎゅってして、いっぱいキスす
るね。
こういうことも、いっぱい」
「っ」
夢の中の名残りなのか尖ったままの突起
を引っ張られて、とっさに声を漏らさない
ように唇を噛んだ。
「麗…違う。
それは恋人同士がするものだ。
兄弟でするものじゃない」
「お兄ちゃんと兄さんだって恋人同士じゃ
ないでしょ?」
クスクス笑う麗の声には迷いがない。
麗は何を、どこまで知っているんだ…。
迂闊なことが言えないでいると、麗はま
るで指遊びでもするように突起をこね回し
ながら話す。
「兄さんじゃないよ。
兄さんは意地悪だから、そんなこと教え
てくれないもん」
じゃあ誰が。麗はどうやってそれを…。
「ふふっ。知りたい?
でも秘密だよ。まだ教えてあげなーい」
麗は無邪気に笑う。
まるで子供のする駆け引きみたいに。
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