悪魔も喘ぐ夜
*
胸の上を指先が滑る。
くすぐったくて逃れようとしたけれど、
体は縫い付けられたように雲の上から動け
ない。
やがて指先は左右の突起を摘んで引っ張
った。
それが不意でビクッと体が震える。
今度は指の腹で捻ってみたり、押し潰し
てみたり。
何かを意図している、というよりは試し
ながら反応を見ているようだ。
でも普段は意識すらしないような場所を
他人に弄られるのはあの夜以来で。
声は聞こえなくても、直接は触れられな
くても、何をしたいのかはなんとなく伝わ
ってきてしまう。
やめろ。
何やってるんだ。
俺はそんなこと望んでないのに…。
自分の夢の中だというのに体の自由もき
かない。
ずっと思考に靄がかかっているようなの
に、与えられる感覚だけが妙にリアルだ。
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