悪魔も喘ぐ夜 * 「お兄ちゃんはぼくのこと好き?」 「そりゃ好きだけど、今は麗が好きな人と キスをする話だろ?俺は家族だし」 「お兄ちゃんだよ」 「え…?」 嫌な予感が首筋を撫でた…気がした。 「ぼくの好きな人、お兄ちゃんだもん」 「麗…。それは違う。 俺は家族だよ。お兄ちゃん、だ。 好きな人でも家族だ。 恋人の好きとは違う」 そう。ただキスに憧れているだけ。 家族への愛と恋人への愛は違う。 混合しちゃいけない。 麗にはまだ家族に対する好きと恋人に対 する好きの違いを理解していないのだ。 ただ、それだけ。 そうに決まっている。 …歯車が狂ってしまってるのは兄貴一人 でもう手一杯だ。 [*前][次#] |