悪魔も喘ぐ夜 * 「起きていたいなら起きてていいよ。 俺は寝るから。おやすみ」 「やだやだ! ぼくも寝るっ」 別に脅したつもりはないのに、麗はそれ 以上何も言わずに布団に潜り込んできた。 さすがに二人でシングルベットは狭いの で、床に布団を並べて敷いている。 「じゃあ電気消すぞ?」 「うんっ」 弾む返事をする麗はまだまだ眠くなさそ うだったが、とりあえず寝てみよう。 寝てみて寝られたらよし。 寝られなかったら…兄貴は狸寝入りでや り過ごすしかない。 「お兄ちゃん、そっち行ってもいい?」 部屋の明りが消えて闇に包まれ、俺が布 団体を横たえるのすら待てないように声が かかる。 「いいけど…」 ゴソゴソッ、ぎゅうっ 呆れた、と続ける暇もなかった。 最初からそのつもりだったらしい。 片腕に抱き着いてきた麗はその肩に頬擦 りしている。 [*前][次#] |