悪魔も喘ぐ夜
*
案の定、俺が入ると麗は笑顔で抱き着い
てきた。
「お兄ちゃんっ」
ゆっくりお湯に浸かると言うよりは、半
身浴でベタベタする、に近いもしれない。
「麗も大きくなってきたから、浴槽が狭い
な。一緒にお風呂入るのもそろそろ限界
かもしれない」
「えーっ!?
そんなことないよっ。
まだ大丈夫っ」
ぎゅううっ!
力一杯抱き着かれてちょっと苦しい。
もう筋力も小学生のものではなくなって
きているのかもしれない。
「俺が麗の歳だった頃は、もう兄貴と一緒
に風呂入ってなかったし」
「でも僕とは入ってたでしょ?」
…そうだけども。
どうしても食い下がりたいらしい麗は、
俺の首に抱き着いたままうーうー不満げに
唸っている。
さて、なんと説得しようか…。
とにかくのぼせてしまう前に、場所を部
屋に移すことにした。
[*前]
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