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悪魔も喘ぐ夜
*


「ほな、脱いで?

 誰にも見せたりせーへんから」


 クロードの手に引かれて日陰から日向に

移動する。

 遠くからグラウンドのざわめきが聞こえ

てきた。

 きっとどこかのクラスが体育の授業中な

のだろう。


「っ…。ここで?」

「駆がここがええって言うたんやろ?」

「そうだけど…」


 やっぱり場所を変えたい。

 どうして誰もいないという理由だけで屋

上なんて選んでしまったんだろう。

 けれどクロードの笑う目が俺を急かして

いる。

 今更別の場所をと言ってお茶を濁そうと

しても見逃してはくれないだろう。


「う…」


 だけど。でも。

 真昼間の、学校の屋上で、どうして俺だ

け裸になってクロードの悪戯に耐えなけれ

ばいけないのか。

 本当にどうしても無理なことを強要され

たら拒否することはできるけど、でもまだ

そのカードは切るべきではない…ような気

がする。


 でも…脱ぐのか、ここで?


 考えただけでありえないと首を横に振り

たくなる。

 こんな真昼間から屋外で一人で裸になる

ような性癖は俺にはない。

 まして、脱ぐだけで終わらないことは嫌

と言うほど解っているのに。


「どうしても、ここじゃないとダメか…?」


 唇を噛みしめて上目遣いで足掻く。

 本当にどうしてあの時に屋上なんて口走

ってしまったのか自分で自分が分からない。

 クロードが例の変な能力でも使ったんだ

ろうか。


「駆が最後までさせてくれる言うんやった

 ら場所変えてもええよ?」

「それ、はっ…」


 快晴の下で気温のせいだと言い訳もでき

ないほど顔が熱くなる。

 それだけはできないと分かっていて笑う

クロードが恨めしい。

 どちらに転んだとしてもクロードには都

合のいいことにしかならないだろう。


「それに気づいてへんやろうけど」

「う、わっ!?」


 笑みを浮かべたままのクロードに腕を引

かれてバランスを崩し、日向にいるクロー

ドの腕の中に飛び込む形で抱き寄せられた。


「ちょっ、危ないだろっ」

「堪忍してや。

 ここのとこずっと甘い匂いさせてるやろ。

 ただでさえ駆が欲しゅうてたまらんのに

 我慢できへんわ」


 クロードのがっちりとした胸から顔を上

げて抗議するが耳にかかる吐息がくすぐっ

たくて体が震える。


 って、ちょっと待て。

 今、何かクロードが不吉な事を言ったよ

うな気がするんだけど。


「そんなはず、ないだろ。

 ここのとこずっと…その…誰とも、して

 ないのに…」


 皆に甘いと言われる時は欲情した時だけ

だ。

 体がその気にさせられてしまった時だけ。

 今もドキドキはしてるけど、でも下半身

に変化があるようなことはないと言いきれ

る。

 クロードがどうかは知らないが、俺は屋

外で裸になって感じるような変態な性癖は

持ち合わせていない。





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