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悪魔も喘ぐ夜
*


「なんや、俺が居らんからたまらんように

 なってしまったんちゃうん?

 俺のが恋しいんやろ?」


 クロードはいつもの軽口をたたいて返事

に困っていた俺の顎を掴んで引き寄せてく

る。

 ふぅっと耳を吐息が擽った瞬間、背中が

震えた。


「そ、そんなわけないだろっ。

 クロードじゃあるまいし…」


 変なことするなとクロードを睨んで耳に

手をあてながら顔を引くがクロードは楽し

そうに笑っただけだ。


「なんや、つれないなぁ。

 でも駆は口より体のほうが素直やもんな」


 1時限目を間近に控えた人がざわつく教

室で何を言い出すんだと睨んだけれど、ク

ロードはケロリとした顔で受け流してくれ

る。

 手を伸ばしてその鼻を摘んでやろうと思

ったけれど、そうこうしている間に1時限

目の化学を担当している沢本先生が静かに

教室に入ってきた。

 相変わらず涼しげな表情で入ってくるけ

れども、この先生の授業は気を抜くと数十

分で何十ページも進んでいたりする。

 そうかと思えば授業中に関連した話で脱

線していき予鈴が鳴ってから慌てたりする

から油断ならない。

 チャイムが鳴り、高瀬の号令で礼をして

着席すると授業が始まる。

 皆が一斉に教科書とノートを開くのに、

隣に座っているクロードは机の上にそのど

ちらも出していない。

 それどころかいつの間にか手にしていた

携帯端末を弄っていて、さすがに授業を受

ける態度ではない。

 だが一言言ってやろうにも沢本先生は基

本的に授業の進行を邪魔しない行為には特

に何か言ったこともない。

 西門なんかはすでに机に突っ伏して居眠

りする気まんまんな姿勢だし、その他にも

チラホラ…。

 さすがにクロードだけを責めることはで

きなかった。


「ん?じっと見つめてどないしんたん?

 やっぱり俺に触ってほしいん?」

「そんなわけないだろっ」


 何か言ってやろうと思ってみてたのだが

結局言葉を選び損ね、それを茶化すクロー

ドに声を潜めて睨みをきかせる。

 そんなのクロードにとってはちっとも気

にならない事だとわかってはいても。


「そうやな。

 最近ちゃんとチェックも出来てへんかっ

 たし。

 今からしよか?」

「いっ、今からっ!?」


 正気かとまじまじとクロードを見つめて

しまったが、その笑顔は崩れない。

 今まで決して長くはない休憩時間に空き

教室や屋上で人払いをして…ならばあった

けれど、まさか授業中の教室でなんて言わ

れるとは思わなかった。


「嫌だ。人前でなんて絶対に嫌だから」


 とんでもないとブンブン首を振る。

 悪戯までは許容できても、まさか授業中

の教室でなんて論外だ。

 クロードの身体チェックと言う名の悪戯

が前を弄っただけで終わらないことは身を

もって知っている。

 授業中に、下半身を露わにして後ろをク

ロードの指でいっぱいにしながらイかない

ように前を締められるのをクロードが満足

するまで耐え続けるなんて、考えただけ

で…。





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