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悪魔も喘ぐ夜
*


 麗は背中を上から下まで隅々まで洗い、

肩に戻って腕へとスポンジを滑らせた。

 腕から脇にかけてはさすがにくすぐった

くて身をよじる。


「もういいから。

 前は自分で洗うし」

「ダメ。


 ぼくが洗ってあげるのっ」


 ここで許したら全身洗わせないといけな

いような気がする。


「でもな、麗」

「えいっ」


 説得を試みようとしたら泡付きのスポン

ジが胸を撫でた。


「っ」


 咄嗟に変な声が出そうになって焦る。

 一昨日の夜、兄貴に執拗に弄られたそこ

はまだ少しヒリつく。


 こんな体、麗には洗わせられない。


「お兄ちゃん?」


 体の震えに気づいたのか…何か言われる

のが怖くて誤魔化すように早口で告げる。



「麗、ホントにもういいから。

 十分だから。

 先にあったまってろ」





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