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悪魔も喘ぐ夜
*






 沈んでいた意識がふわりと浮上した。

 まだ深い微睡みなか覚めきらない意識が

空間の重力に引っ張られるより先に伸びて

きた腕に抱き寄せられる。

 まだ微睡んでいたい意識がその腕に掬い

上げられる形で感覚がハッキリしてきた。


「おにーちゃんっ」


 その腕が麗のものだということに気づい

たのはその直後。

 あぁ、良かった。

 夢の中の麗も笑ってる。

 どこか吹っ切れたような笑みを浮かべて

いる麗にここ最近感じていた苦悩の色はな

く、抱きついてきている麗サラサラの髪に

指を通して頭を撫でた。


「こんなに上手くいくならもっと早く始め

 れば良かったなぁ。

 そうしたらお兄ちゃんがこんなに追いつ

 められることもなかったのに…。

 ごめんね、お兄ちゃん?」


 麗の言いたいことはよくわからなかった

けれど、当たり前のように触れてきた唇は

甘く優しくてその柔らかい感触に慣れた体

は無意識に啄んでくる唇をやんわりと吸い

返した。


「ふふっ。

 あの人、今日もイかせてくれなかったの?

 最近のお兄ちゃんはすごくエッチで素直

 だよね。

 あの人にされたっていうのがイヤだけど

 エッチなお兄ちゃんも大好きだよ?」


 頬を撫でていた両手が当たり前みたいに

首筋から胸へと落ちて、麗の手が触れたと

ころから衣服が溶ける感じがして胸を撫で

回されながら突起をかすめられた時には鼻

から震える吐息が漏れた。


「こうして毎晩お兄ちゃんを気持ちよくし

 てあげる。

 あの人の目論み通りになんてさせないか

 ら安心して?」


 あの人って誰だろう。

 目論みって…?

 しかし生まれた疑問は声にならずに吐息

に変わる。


「ふふっ、コリコリしてきたよ?

 気持ちいい?」


 摘ままれて押し潰されて弾かれて…弱い

ながらも絶え間なく与えられる刺激に体は

素直に頷いた。


「今夜はどうやって気持ちよくしてあげよ

 うかな?

 お兄ちゃんはすごく感じやすいから、イ

 キ過ぎても辛いよね?」

「…んなこと、ない」


 流石にそこまで言われてしまっては恥ず

かしくて否定したけれど、麗はただ微笑む

だけだ。


「今夜はね、お兄ちゃんが嬉しいこと言っ

 てくれたからうんと気持ちよくしてあげ

 たい。

 お兄ちゃんはどうやって気持ちよくなり

 たい?」


 麗が笑顔で凄いことを聞いてくる。

 胸を撫でる麗の掌と俺の胸がいつの間に

かぬるぬるする液体で濡れていて、滑りが

良くなった指先に摘まみ上げられた突起が

絶妙な刺激を与えられてあっという間に尖

っていく。





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