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悪魔も喘ぐ夜
*


「別にまだ何処とはハッキリ決めていない

 し、ちょっと寄り道するだけだ。

 桐生は家の事もあるだろうしな」

「そ、そうだって。

 ほんとにただの寄り道だから。

 今からでも鈴木追いかけたら?」


 何の事情も知らない加我がフォローにな

る発言をしてくれたので、それをうんうん

と肯定しながら記事はやっぱり二人で書く

ように促してみる。

 今日くらい悪戯のことなんか忘れて見逃

してほしい。

 と思っていたのに、クロードの腕が肩に

回ってきてしっかりと俺の肩を掴んでき

た。


「その寄り道がしたいねん。

 加我だけズルイやろ。

 なんで俺はダメなん?

 俺はもっと駆と居りたいだけやのに」


 クロードのコレはあくまでノリであって

冗談の範疇だ…というのが、ウチのクラス

ではすっかり浸透してしまっている。

 何かにつけては俺に絡んできて、そうい

うキャラとして定着させてしまったクロー

ドを今更嫌がって押し退けようとしても周

りはハイハイという反応を示すだけだ。

 仲がいいように見えるが実は上辺だけ…

なんて、きっと誰も気づかない。

 現に加我でさえすっかり静観の立ち位置

で口を挟んでこないんだから。


「狡いも狡くないもないと思うんだけど。

 そもそも記事は相方と二人で書くってい

 うルールだろ?

 いいのか、勝手に一人で書いて?」

「ええやろ。

 交代で書いとる奴らも居てる位やし。

 あぁ、せや。

 パートナー交代すればええねん。

 俺が駆と組んで、加我が鈴木と組んだら

 問題ないやん」

「いやいやいやっ!

 そういう問題じゃないから!

 むしろ俺は加我がいいっ!」


 拗ねたついでに何を言い出すんだと本気

で焦った。

 ただでさえクラスではベタベタ触られま

くっているのに、部活動まで侵食されたら

俺の逃げ場がない。

 それだけは本当に勘弁してほしい。

 家でもクラスでもストレスを溜める俺の

唯一の逃げ場なのだから。

 それを奪われたらもう…俺が肩の力を抜

いていられる場所はなくなってしまう。


「なんや俺がいてるっちゅうのにー」


 クロードはそのノリのまま口を尖らせる

が、肩を掴む力が心なしか強くなる。

 露骨な態度に冗談でも苛立ちが見え隠れ

しているんじゃないかと思う様な力加減

だ。





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あきゅろす。
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