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悪魔も喘ぐ夜
*


「べ、別にクロードを嫌いになったとか、

 避けたとかじゃないんだ。

 そうじゃなくて…昨日の今日だから。

 兄貴も麗もピリピリしてるし…」

「そんなん勝手にさせといたらええやん。

 俺と駆の間で決めたことに横から口出す

 権利なんかないやろ、アイツら」

「そういうわけにはいかないって。

 家族だし、兄貴たちは…誤解とはいえ助

 けにまで来てくれたんだし」


 あくまで邪険にするクロードにそうじゃ

ないと首を横に振る。

 クロードにとっては煙たい相手かもしれ

ないけど、俺にとっては大事な家族だ。


「親族や言うだけで大事にされんのやった

 ら、俺だって遠縁の親族やねんけど」

「まぁ…そうだけど」


 でも親同士が従弟というだけで“家族”

という言葉でくくるにはだいぶ無理がある

ような気がする。


「親族だって思うんなら、もう少し仲良く

 してほしい。

 顔を合わせるだけで殴り合ったりするよ

 うな関係じゃなくてさ」

「先に仕掛けてきたんは向こうやろ。

 正当防衛や」

「その前に電話で兄貴の事怒らせてただ

 ろ…」


 先に手を出した方が負けと言うなら兄貴

の負けかもしれないけど、勘違いだったと

しても助けに来てくれたのだから。


「いずれはそうなるやろ。

 早いか遅いかだけの違いや」


 クロードの言葉には迷いがない。

 悪びれもせずにそう言って背もたれ替わ

りにしている枕に背中を埋めた。

 この様子では兄貴や麗のことまで頼むの

は無理かもしれない。


「あのさ…あの約束はまだ有効ってことで

 いいんだよな?」


 それでもこれだけは確認しておかないと

いけない。

 さっきだって電話口で怖い脅しをかけら

れたばかりだ。

 兄貴や麗や…身の回りの人達の安全を保

障してくれないと安心できない。


「約束?

 手出しせぇへんで待つって、あれ?」


 そう尋ねてくるクロードの機嫌は悪かっ

たけど、それだけは確認しておきたくて大

きく頷いた。





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あきゅろす。
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