悪魔も喘ぐ夜
*
行きたくない、行きたくない、行きたく
ない…。
顔をそらし他人のフリを決め込んだまま
いっそ机にへばりついていたい。
机の上から拳を動かせないでじっとして
いたら目の前にトンと弁当箱を置かれて肩
が跳ねた。
「駆、忘れ物ですよ。
いつもそそっかしいですね。
慌てて出るから忘れ物するんですよ、色
々と」
声が…怒っている。
笑いながらトゲでつついてくる。
顔を上げたくない。
きっと兄貴の視線に刺される。
しかし、ここまでされておいて無視する
のは無茶を通り越して無謀だった。
…とにかく罪悪感を覗かせたら、兄貴は
そこを突いてくる。
昨日は微熱があったんだし、頭がボーっ
としていて昨日のことは覚えていない、で
いざとなったら押し通そう。
うん。やるしかない。
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