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悪魔も喘ぐ夜
*


 全身を包むタオル地の柔らかい感触が心

地いい。

 洗いたてのシーツは陽の匂いがして、頭

を埋める枕に頬擦りした。


「ん……」


 柔らかい布団に包まれながら寝返りをう

ち、再び意識が沈んでいく。

 久しぶりの安眠に睡魔が容赦なく襲いか

かるのは必然で、瞼を開く暇すらなく意識

がフェイドアウトしていく。


「…なんや、起きたんやないん?」


 意識が途切れる刹那、前髪に誰かの指先

がそっと触れた気がした。






 どれくらい眠っていたんだろう。

 ゆっくりと意識が浮上したのは、ずいぶ

んと体が回復した後だった。

 誰かの肌の温もりと呼吸を感じながらう

っすら瞼を持ち上げると、目の前にクロー

ドの無防備な寝顔があった。


 あ…れ…?

 俺、どうしたんだっけ…?


 まだ少しボーっとする頭で考えながら部

屋を見渡す。

 見渡すほど広い部屋には落ち着いた色合

いの家具が並び、壁に掛けられた絵画はそ

ういった類の物には縁がない俺でも一目で

由緒ある品なんだろうと思わせた。


 どこだ、ここ…。


 起き上がろうとしてできなかった。

 眠っているクロードにしっかり抱きしめ

られている。
   




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あきゅろす。
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