[携帯モード] [URL送信]

悪魔も喘ぐ夜
*


「それは駆があんまりに可愛い過ぎたから

 や。

 あんなかわええこと言われたら、何度同

 じこと繰り返しても俺は同じことする。

 …ちゅうか、あのまま攫ってしまわへん

 かった俺の有り余る譲歩に関してなんで

 考えてくれへんの?

 あのまま問答無用で連れ帰って俺だけの

 ものにしてしまいたかったんを、なんで

 俺が堪えたと思ってるん?」


 あまりにも身勝手な考え方に頭痛がして

くる。

 どういう環境で育ったらそんな傍若無人

な思考になるんだろう。

 いっそ日本語が通じていないだけってい

うほうが救いようがあるように思えてくる

のはただの気のせいだろうか。


「俺の気持ち無視して“譲歩してやった”

 って言われたって全然嬉しいないっ!」

「嫌や嫌や言いながらものすごく甘ったる

 い匂いプンプンさせてたのに、それでも

 途中でやめたほうが良かったん?」

「あれはっ…!」


 揶揄されて耳が火照る。

 でも負けてやらないと睨み上げる。


「クロードが悪い。

 そうなるように仕向けたんだから」

「めっちゃ可愛かったんやもん。

 しゃーない」


 自分のことは“しゃーない”で片付ける

のに、俺の言い分は一言も聞かない。

 まったくどういう思考回路なのか。

 こっちはもう体力も余裕も限界ギリギリ

だっていうのに…。


「信じてたのに…。

 ちょっとおかしいなって思ったけど、そ

 れでもクロードのこと信じてたのに…」


 意識するとただでさえ寄りかかっていた

体がその服を掴んでしがみつくこともでき

ずに膝から崩れる錯覚に陥る。


 まだ、ダメだ…。

 あと、もう少しだけ…。


 家の中まで戻らないと…そう思うのに強

制的に瞼が落ちていく。


「嘘つき………」


 そこでぷっつりと意識が途切れた。





[*前][次#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!