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悪魔も喘ぐ夜
*


「ねぇ、お兄ちゃん」

「うん?」


 体を横たえると当たり前のように麗がピ

ッタリくっついてくる。


「ぼく…ずっとお兄ちゃんの傍にいてい

 い?」


 改まって何を聞くんだと思わず笑ってし

まった。


「傍にいるもなにも家族じゃないか」

「そうじゃなくて。

 もし…もしお兄ちゃんがぼくを選んでく

 れなかったとして…。

 それでも、それでも…お兄ちゃんが迷い

 なく誰かを選んでしまうまでは、お兄ち

 ゃんの傍にいていい?」


 何を言ってるんだろう。

 家族なのに本気でそんな心配してるの

か…?


「麗はずっと俺の大事な弟だよ。

 傍にいてもいいかどうかなんて質問はお

 かしいだろ」

「むぅ…。

 お兄ちゃん、ぼくの気持ち解っててそん

 なこと言うの?」


 “酷いよ”と麗は隣で拗ねるけれど、や

っぱり麗は俺にとっては弟だ。

 それ以上でもそれ以下でもない。

 決して軽んじているわけじゃなくて、家

族というパズルの中の失えないピースだ。

 弟は弟で、恋人じゃない。

 恋人とは全然違う意味で特別な、かけが

えのない存在。

 俺の幸せの…願いの大切な一部。

 …たとえ、それが麗や兄貴の願いとは相

容れなくても…。





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あきゅろす。
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