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悪魔も喘ぐ夜
*


 体に何か触れる感触があって意識が浮上

した。

 目の前に見えるのは白い天井と白いカー

テン。
 
 夕日が差し込むその色は白というよりは

オレンジを混ぜた色だった。


「……………」


 体が重い。頭も重い。喉が痛い。腰が…


 俺、何かしたっけ…?


 と、ふと視界に黒いものが見えた。

 黒い髪に白い肌…見覚えがある。

 確か…


 「カイル……?」


 痛む喉から声を出すと、俺の体を拭いて

いた手が止まった。

 よくよく考えると裸だ。なんで…?

 それにここは何処だ…。

 とりとめもなく思考が流れていくが、よ

うやく気を失う前のことを思い出した。


 あぁ、そうか。俺………。


「クロード、は?」

「下賤の身でその名を軽々しく口にする

 なッ!」


 初めてまともに口を聞いたと思ったら怒

鳴られた。

 きっとこんな時でなければ驚いて及び腰

になりそうな剣幕で睨まれる。

 だが、今の俺には効かない。

 リアクションをしてやるだけの体力も余

裕もない。

 誰かさんのせいで…。 

 何が“下賤”なのかは知らないけど、俺

をこんなにしたクロードに頭を下げられた

としてもこっちが頭を下げなきゃならない

理由はない。





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あきゅろす。
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