悪魔も喘ぐ夜
*
「このままでは全てを失うだろう。
その惰性と慢心によって。
かつて傲慢にも神に近づこうと人が建
てた塔が天の雷によって破壊されたよ
うに、な」
「そんなっ!
じゃあどうすればいいんだよっ!?
俺はっ、こんなに頑張ってるのに…!」
思わず叫んでしまった。
心の痛い場所を幾度も突き刺されて胸が
悲鳴を上げている。
これ以上頑張れない、と。
これ以上どうればいいんだ、と。
答えを知っているなら教えてほしい。
何が正解なのかを。
「ヒャッヒャッヒャッ…。
それは自分で決めることさね。
カードに頼るもんじゃあない」
そのしわがれた笑い声に撫でられたよう
にロウソクの明りが揺らいだ。
まるで夢の幕引きを告げるように。
やがてロウソクよりも明るい光が差し込
んできて、全てを白く染めていく。
意識が眠りから目覚めようとしているよ
うだ。
待って!
待ってくれ!!
まだ聞きたいことがあるんだっ…!!
しかしその波にあらがえるはずもなく意
識は浮上していった。
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