悪魔も喘ぐ夜
*
「\ 隠者。その逆位置。
これは闇の中を明りもなく惑う様をあら
わす。
他者の意見を聞き入れず、自らの固定概
念の中だけで判断しようとするから狭い
視野の中で身動きがとれない、或いは何
をやっても出口に辿りつけない」
そのしわがれた声にいつしか神経を張り
つめていた。
これは俺が探している“答え”じゃない
のか…?
そんな予感がした。
実際には瞬きするような時間なのだろう
けれど、早く先が知りたい俺はカードの上
を滑るように動くその指の動きさえじれっ
たく感じた。
「]X 悪魔。その正位置。
抗いがたい誘惑。浮ついた気持ち。
それらにとらわれて、何もできない」
そう、何も出来ない。
何もできずにいる。
快楽に理性まで流されて、それで…。
「何もできない、何も選択できない。
選ぶべきものを、正しいものを選べない
でいる。
誘惑に負けてあっちにフラフラ、こっち
にフラフラしている、とY 恋人たちが
あらわしている」
「だってあれはっ…!」
いたたまれなくて、図星を突かれたよう
で、言い訳をしようと口を開いた俺の目の
前に最後のカードが突き付けられた。
[*前][次#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!