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悪魔も喘ぐ夜
*


 夢の中で俺はどこか知らない道を歩いて

いた。

 現代の日本ではなく、お伽話にでてくる

ような舗装されていない田舎道。

 ようやく辿り着いた村の果物屋で店番を

していたおばちゃんに谷へ続く道はどこか

と尋ねた。

 道順を教えてくれたものの、“あんなと

ころに本当に行くのかい?あそこは魔物が

すむって噂だよ?”とひとしきり心配をさ

れてしまう。

 でも行かなきゃいけない…ような根拠の

ない使命感を胸に教えてもらった道のりを

歩き出した。


 しかし山を上り川を渡ってもまだ着かな

い。

 そんな谷は本当はないんじゃないかとい

う疑問にとり憑かれた頃、唐突に地面がぽ

っかりと口を空けた場所に出た。

 谷というよりは断崖絶壁で、黒い霧に覆

われた底は見通しが悪く見えない。

 こんな場所に本当に行くのか…目の当た

りにして決心が揺らぎそうになるのを必死

で堪えて、荷物の中に入っていたロープを

適当な岩にくくりつけ、それを握って少し

ずつ崖の下へと下りていく。


 しかしロープの先が無くなる頃になって

焦った。

 あんなに長いロープだったのに、まだ崖

の底につかない。


 足の下は相変わらず濃い霧で未だに底も

見えず、かといって引き返すには体力が限

界だった。





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