悪魔も喘ぐ夜
*
「まぁええよ、今日はこれで。
時間は腐るほどあるさかいに」
先ほどとは違う意味でそのグレーの目か
ら視線がそらせない。
鼻先が触れるほど近づいたと思った時に
はもう唇を塞がれていた。
「んっ…」
“嫌だ”
そう思ってその胸板を叩くがビクともし
ない。
それどころか唇を甘く噛んできた。
犬歯が長いのか、唇に突き刺さってきそ
うな危うさで、固く閉じた唇を開けと催促
してくる。
ビクンッ!
「ぁっ…!」
不意打ちで股間を掴まれて、思わず唇が
開いてしまった。
その間を縫って、舌が入り込んでくる。
侵入者を押し出そうとした舌まで甘噛み
され、絡め取られそうになるのをギリギリ
で避けると顎を上向かされて唾液が流れ込
んできた。
飲んだら、ダメだっ…!
そう思うのに、股間を揉みしだく手が止
まらない。
顎を掴んでいた手が離れて、その手が俺
の鼻をつまんだ。
「………っ!!」
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