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悪魔も喘ぐ夜
*


 ビクッ!!


 体に電流が走ったように震えて、意識が

ハッキリする。

 唇が触れそうなほど傍に顔を寄せていた

クロードの胸に手をあてて慌てて押しのけ

た。


「クロードっ、今何したっ!?」

「…やっぱあかんかぁ。

 まぁそれはそれでおもろいからええけ

 ど…」


 夕暮れの中でそう言って笑うクロードの

目は、赤く光っていたことなど嘘のように

グレーに戻っていた。

 でもその顔に浮かぶ笑みは、いつもの笑

顔とは180度違う暗さが滲みだしてい

る。


「クロード、答えろよっ!

 今、俺に何かしただろっ!?」


 それさえ解ければ今日一日のモヤモヤは

晴れるような気がするのに、クロードはそ

の顔に笑顔を貼り付けてしらばっくれた。


「さぁ?なんやったかな…。

 忘れてもーたわ」


 茶化されているようで思わず大きな声を

出す。


「クロードっ!!」

「そないな声出さんでも聞こえとるわ。

 そやなぁ…駆がその体喰わせてくれるん

 やったら、教えたってもええよ?」


 夕暮れ時を逢う魔が刻と昔の人は言った

という。

 明るい昼から暗い夜に移り変わるこの薄

暗い時間は、幽霊や妖怪に出会ってもおか

しくない、と。

 目の前で笑っているクロードの顔が全然

知らない人の顔に見えて、頭がパニックを

起こす。





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